会話の声の悩み49種

会話の声の悩み49種を解消する方法

声の悩み49種のすっきり解消法 第4版
ボイストレーニングのミニ百科事典

著者: 石神久資
発行所: アートジャム
書籍形式: 電子書籍mobi(Kindle端末、iPad、iPhone、Androidタブレット、Androidスマートフォン用)、およびオンデマンド書籍(紙書籍)
ページ数: オンデマンド書籍は270ページ
販売書店: Amazon Kindleストア、Amazonストア
価格: 電子書籍は380円、オンデマンド書籍(紙書籍)は2,873円(税込み価格)
2014年7月20日 初版発行
2014年8月29日 第2版発行
2014年10月23日 第3版発行
2015年10月4日 第4版発行

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書籍の紹介

あなたはご自分の声が好きですか?

ビジネスや学校生活で、会話の声の印象はとても重要です。

声にはいろいろな種類があります。高い声、低い声、鼻声、かすれ声・・・。これらの声は個性的な良い声ですが、行き過ぎるとそのまま悪い声になってしまいます。

高い声=若々しい元気な声 → 高すぎてキンキンうるさい声
低い声=落ち着いた安心する声 → 低すぎて聞き取りにくい、わざとらしい声
鼻声=暖かい声 → 風邪声や蓄膿症などの病気を持つ人の声
かすれ声=大人のセクシーな声 → 喉に病気を持つ人の不健康な声

このように、良い声と悪い声の違いは紙一重です。自分で自分の声はよい声だと思っていても、他人から見ると悪い声だったりしますし、その逆もあります。

もしあなたの声が悪い声であるなら、改善して良い声に変えましょう。自分の声を今までと全く違う美声に変えるのはとても大変ですが、今の個性を保ったまま悪い声を少しずつ良い声に変えるのであれば、それほど困難なことではありません。

本書では、歌うためのボイストレーニングではなく、話すためのボイストレーニングについて説明いたします。

ところで、現在、ボイストレーニングの本はいろいろ出ています。 しかし、ほとんどの場合、代表的な声の悩みを10種ほど取り上げて、その対処法を紹介しているだけです。 でも、声の悩みは10種だけ取り上げるだけで十分なのでしょうか? もっと声の悩みの種類を増やしたほうが、皆さんの多様な悩みに応えられるのではないでしょうか?

そう思って、声の悩みの種類を大幅に増やして、本書を書いてみました。

この本はウェブサイト「アートジャム★声の個性―声の悩み」にまとめた項目の数を約2倍の49個に増やし、それぞれ大幅に加筆し、さらに理論的な解説やイラストを追加して、それぞれの悩みの解消法をご紹介いたします。

本書は、Amazonによる計算では、紙の書籍に換算して約381ページもあります。(一方、オンデマンド書籍のほうは、文字を小さくしたりページの余白を狭くしたり画像を縮小したため、全部で270ページに圧縮されています。) ページが多すぎると思われますか? でも、全部を読み通す必要は全くありません。必要な項目だけお読みください。あなたの声の悩みは、きっと本書の中のどれかの項目に当てはまるでしょう。

ただし、本書は歌声については触れていません。会話の声だけを説明しています。

以下に本書の目次内容の一部をご紹介いたします。ぜひご一読ください。(オンデマンド書籍は「なか見!検索」ができます。)


この「内容の一部」で紹介する「アニメ声」は、元々は「アートジャム」ウェブサイトの「舌足らずな声・アニメ声」ページを「アニメ声」と「舌足らずな声・子供っぽい声」に分割し、記事を大幅に追加し、画像を加えたものです。

元々のウェブページ「舌足らずな声・アニメ声」の内容は3180文字ですが、本書の「アニメ声」項目の内容は6839文字ありますので、内容が約2倍に増えています。本書中のその他の項目も同様に新記事を追加して内容を増やしました。


目次

はじめに ―― 声の悩み
第1章 良い声と悪い声の違いは?
1.1 悪い声とは?
1.2 よそ行きの声と普段の声
1.3 つやのある声とつやのない声
第2章 話す時の悩み
2.1 トレーニングの準備
2.2 腹式呼吸
2.3 声の悩みと解決法(50音順)
アニメ声  ( この項目の内容は下記の「内容の一部」で紹介しています。)
息が漏れる声
癒し(いやし)声
嫌味な声
うるさい声
大きすぎる声
かすれ声(嗄声(させい))
硬すぎる声
滑舌が悪い声
金切り声
ガラガラ声
吃音(きつおん)
気取った声・自慢声・嫌味な声
クセの強い声
暗い声
声が出ない(失声症)
声変わり中の声(変声期)
子供っぽい声
こもった声
ささやき声
嗄声(させい)
自信のない声
舌足らずな声・子供っぽい声
失声症
渋すぎる声
自慢声
高すぎる声
だみ声
小さすぎる声
力が入りすぎた声
つぶれた声
電話で話す声
通らない声
途切れる声
どもり(吃音)
濁った声
粘つく声
喉が疲れる声・喉声
鼻声・鼻づまりの声・鼻に抜ける声
低すぎる声
響く声
太すぎる声
震える声
変声期
細すぎる声
モテない声
柔らかすぎる声
老化した声
録音した変な声
第3章 聞く時の悩み
相手の声が小さすぎる
相手の声を聞き取りにくい
高齢者と話すと疲れる
第4章 どうしても一人で解決できない人のための情報
4-1 ボイストレーニングについての本
4-2 ボイストレーナーの現状
4-3 ボイストレーニング教室の選び方
付録A 声が出る仕組み
A.1 肺と横隔膜
A.2 声帯
A.3 気管、口腔、鼻腔
A.4 基本周波数と倍音
A.5 母音・子音、有声音と・無声音、ささやき・ささやき声・かすれ声
A.6 声域
A.7 フォルマント
あとがき
著者紹介


内容の一部

アニメ声

アニメ声とは、アニメーション動画に出てくるキャラクターの内、子供、少女、小動物などを担当している女性声優の舌足らずで子供っぽい声の中で、特に、声がきわめて高く、また、元気で勢いがある不自然な声のことです。

普通のアニメ声は声優が職業的に演じる極端な声のことですが、中には普段の地声がアニメ声になっている人もごくたまにいます。

声優の金田朋子(かねだ ともこ)さんは地声もアニメ声だと言われています。彼女は童顔で背も低めのため、子供と間違われることが多かったそうです。たとえば、35歳の時、横浜中華街で中華料理の食べ放題に行ったとき、支払いの際に「オキャクサマ、チュウガクセイデスカ?」と聞かれ、「エッ......? いやいや!中学生じゃないです!」って言ったら、「ショウガクセイデスカ?」と聞かれて、「びっくりでした」「せめて高校生に上げていただきたかった」といったことがあったそうです。(金田朋子オフィシャルブログ「カネトモ地獄。早起きは三文の毒!!」より)

これは極端な例ですが、地声がアニメ声だと、「わざとらしい演技をしている」とか、本人は大人であるのに「本当は子供でないのか」とか疑われて、白い目で見られたり、からかわれたり、笑われたリすることがあります。

女性はもともと声が高いので、舌足らずの発声であると子供っぽい印象を与えやすいのですが、それが極端になると、やや異様で、不自然に感じられ、アニメ声になります。

あなたは、「アニメみたいな声ね」と言われたことはないでしょうか?

もし複数の人から「子供っぽい」とか「アニメ声」とか言われるのであれば、あなたの発声法に何か問題があるのかもしれません。自分の声が変かどうかは、自分の声を録音して、それを聞き返してみればわかるでしょう。

では、なぜ子供っぽくなったりアニメっぽくなったりするのでしょうか?

原因

アニメ声は、極端に声が高く、かつ、発声が舌足らずであると起こりやすくなります。

まず、なぜ声が高くなるのでしょうか?

一般的に、身長が低い人は声帯が短くなる傾向があります。そして、声帯が短いと声は高くなります。これは、ファントの法則として知られています。したがって、身長が低い人の声が高くなるのは、ある程度やむを得ないことです。身長や声帯の長さは、ある程度は遺伝すると言われています。先に説明した金田朋子さんの場合、「家族全員自分のような(高い)声」だそうです。(Wikipediaより)

子供の時は誰でも声が高いのですが、中学生頃に変声期を迎えると声が低くなります。男性は1オクターブほど低くなりますが、女性の場合も、男性ほどではありませんが、やはり声が低くなります。そのため、中学生の時は自分の声の高さが気になっている人でも、大人になるとあまり気にならなくなることがあります。

次に、声帯の長さが普通の人の場合でも、家族や友人などが皆、習慣的に高い声で話していると、それに影響されて、本人の声も高くなることがあります。たとえば、普段、高音域ばかりで話していると、低音域を出しにくい体になってしまいます。

あるいは、家族や友人と話すときは普通の声の高さなのに、学校や職場で声が特に高くなる場合もありますが、それは心の緊張からくるものかもしれません。心が緊張すると体の筋肉が緊張し、声帯が緊張して高い声が出やすくなります。

過去に対人関係などでいやなことがあると、話すことがストレスやトラウマになって、過度の緊張が起こり、声が高くなる場合があります。これは、人見知りの激しい人でも起こることがあります。

女性の場合は、普段、無意識に裏声で話していて、それがアニメ声になる場合もあります。

次に、なぜ舌足らずの声になるのでしょうか?

舌足らずの声というのは、幼児のように、口の中で舌の動きが悪いため、音を正確に発音できない場合に起こります。このことを、一般的に、「滑舌」(かつぜつ)が悪いと言います。特に、母音(ア イ ウ エ オ)の発音がはっきりしない場合は、とても幼児っぽい声に聞こえます。この時、声が極端に高いと、「舌足らずの声」を通り越して「アニメ声」になってしまいます。

舌足らずの声の原因としては、舌の筋力が低下しているため舌が十分に動いていない可能性があります。 この時、舌が口の中で前方にかたよって動いていると高い舌足らずの声になり、逆に、舌が口の中で後方(奥のほう)にかたよって動いていると、低いこもった声になります。どちらの場合も、舌の動きを調節することができれば、ある程度この声の異常は改善されます。

このように舌が自由に動かない原因としては、舌がだらっと垂れている(低位舌(ていいぜつ))と、舌が下に引っ張られている(舌小帯短縮症(ぜつしょうたい たんしゅくしょう))などが考えられます。

それでは、どうしたらよいのでしょうか?

改善方法

アニメ声を改善するためには、声を低くすることと、滑舌を良くすることが必要です。

まず、声を低くする方法について

アニメ声の場合は、発音される声の周波数がかなり高いので、まず、それを低くする必要があります。

声帯が生まれつき短いために声が高い場合は、地声を低くすることはかなり難しいでしょう。しかし、声帯の長さが普通なのにその使い方が偏っているために高い声を出している場合は、訓練によって低い声も出せるようになります。

声を低くするのは、声を高くするのと比べて、簡単ではありません。しかし、訓練によって、ある程度は低くすることができます。

あなたが声を出している時の舌の位置に注意してみましょう。舌が口の中で前方にかたよって動いている場合は、舌をやや後方に移動させて声を出すようにしてください。それだけで声が多少低くなります。

喉の奥にある口蓋垂(こうがいすい。のどちんことも言います)を下に引き下げるようにして声を出すと、声が高くなります。「アー」と言いながら、口蓋垂を上げ下げして、声の高さをいろいろと変えてみましょう。

また、もし無意識に裏声で話している人の場合は、地声で話せるように訓練すれば、確実に声が低くなります。

そのような訓練については、以下の「自分でできる簡単なボイストレーニング」をお読みください。

次に、アニメ声の子供っぽさを直したい場合は、舌を十分に動かす練習、つまり、滑舌を良くする練習をする必要があります。

滑舌を良くする練習

幼児の発声が舌足らずになるのは、舌が十分に動かないからです。大人で舌足らずの場合も、やはり、舌がよく動かないからと考えられます。特に、舌が口の中で前方にかたよって動いている場合は、声が高くなり、しかも滑舌も悪くなります。このような舌の動きを正しくするには、舌を動かすボイストレーニングを行えば改善されます。

しかし、人によっては舌の動きが悪い原因が、舌の筋力不足である場合もあります。そのような場合は、ボイストレーニングを行う前に、舌の筋肉を鍛える必要があります。

では、舌の筋肉が十分あるかどうかは、どうすればわかるのでしょうか?

舌の筋肉が十分発達している人は、口を閉じて安静にしている時、舌の上面が上顎に密着しています。(下図2-4参照)

正常な舌の位置
図2-4

しかし、舌の筋肉が衰えて、筋力が低下すると、舌がだらりと下がって、上顎から離れてしまいます。これを「低位舌」(ていいぜつ)と言います(下図2-5の低位舌1)。また、下図のように、舌の先端だけ上顎に接触し、舌の大部分が上顎から離れている場合も低位舌です(低位舌2)。

低位舌
図2-5

低位舌になると、様々な悪い症状が起きやすくなります。

たとえば、滑舌が悪くなって発音が舌足らずになるだけでなく、舌が気道をふさいで口呼吸になりやすいとか、喉声(のどごえ)になりやすいとか、あるいは、舌苔(ぜったい)が生えやすくなったり、二重顎(にじゅうあご)になりやすくなったり、睡眠時無呼吸症候群になりやすくなったりとか、いろいろな意味で不健康になりやすくなります。

そこで、もし低位舌である可能性が高い場合は、滑舌を治す前に、まず、低位舌を治す必要があります。低位舌は、舌の筋肉を鍛えれば治ります。

舌の筋肉を鍛える方法としては、NHKの「ためしてガッテン」で紹介された「カンタン舌体操」が効果的です。その方法は、「ベロは宝」(べろはたから)を強く、一音ずつはっきりと、1日20回発音するというものです。

ここで、「べ」は思いっきり舌を真下に突き出して発音します。これによって、舌の位置を高く持ちあげる筋肉が鍛えられます。「ろ」と「ら」は舌をなめらかに動かすための運動です。「た」と「か」は舌先と舌の奥を強く上顎に押しつけて舌の筋肉を鍛えます。この方法は、本来は食事の際の嚥下障害(えんげしょうがい)を防ぐための方法ですが、滑舌を改善する効果もあります。

もう一つの舌を鍛える方法としては、篠原さなえ氏の著書『「魅せる」声の作り方』に詳しく紹介されている『「低位舌」を予防するレッスン』が効果的です。

まず、少し大きめに口を開け、舌の最先端を上の歯の歯茎の少し後ろあたりにつけ、舌の裏の筋を伸ばします。(下図2-6の左側参照)
その状態で、舌の先端を歯茎の後ろにつけたまま口を閉じ、舌全体をぴったり上顎に張りつけます。(下図2-6の右側参照)

舌の訓練
図2-6

舌がしっかりと上顎についている状態を記憶し、その状態をできるだけ、一日中保ちます。寝る時は、眠る直前までこの状態を維持します。しかし、舌の位置を調節してもどうしてもこの状態にならない場合は、口や顎に何か問題があるかもしれません。その場合は、歯科医などに見てもらいましょう。

こうして低位舌が治れば、健康上の問題はとりあえず一段落します。

しかし、低位舌が治っても、滑舌が悪い状態、舌足らずの状態は治っていないかもしれません。というのは、滑舌が悪い原因は、低位舌だけではないからです。

舌が自由に動きにくい原因として、舌小帯短縮症という病気も考えられます。

舌の裏側にある細いひだを舌小帯(ぜつしょうたい)と言いますが、これが生まれつき短かったり、舌の先端近くについていたりすると、舌を自由に動かせません。

あなたの舌小帯が正常かどうかは、次のようにして調べます。
口を大きく開けた時に舌の先端を持ち上げて、上顎に付けてみましょう。その時に舌が痛くなって舌の先端が上顎に届かないのであれば、舌小帯短縮症の恐れがあります。(下図2-7をご覧ください。)

舌小体短縮症
図2-7

軽い舌小帯短縮症であれば舌を大きく動かす訓練で十分に改善しますが、重度の場合は手術する必要があるかもしれません。病院で医師に診断してもらうと良いでしょう。

重度な障害がないことがわかれば、ボイストレーニングを行ってみましょう。

ボイストレーニングを行えば、アニメ声が治るだけでなく、滑舌が良くなったり、性格が落ち着いたりするといった副産物も期待できます。

この訓練は、インターネットや書籍を参考にして独学することができます。しかし、近所に教室がある場合は、教室に通って講師から直接指導を受けたほうが効果的です。ただし、歌い方を訓練する教室ではなく、話し方を訓練する教室を選びましょう。

近くにボイストレーニング教室がない場合は、代わりに、話し方教室や、朗読サークルに通っても、ある程度代用できるでしょう。

しかし、教室に通うほど深刻ではない場合、以下の説明に従って自分でトレーニングをしてみるのも良いでしょう。

自分でできる簡単なボイストレーニング

アニメ声を改善するボイストレーニングは、次のように行います。

まず、発声のための、リラックスするための準備運動をしましょう。準備運動については、「2.1 トレーニングの準備」をご覧ください。

準備運動が終わったら、「あくび」をして、喉が大きく開く感じをつかんで、その状態で「ア イ ウ エ オ」とできるだけ大きな声で言ってみましょう。
舌の中央部を下げて声を出すと、声は低くなります。 それと逆に、舌の中央部を上げると、声は高くなります。「エー」と言いながら、舌の中央部を上げ下げして、声の高さを変えてみましょう。
また、喉の奥(気道)を狭くした状態で声を出しても、声が低くなります。「アー」と言いながら、気道を開いたり閉じたりしてみましょう。声の高さが変わりましたか?

もし、あなたが低位舌である場合は、上記の「舌の筋肉を鍛える方法」で低位舌を直してから、次のステップに進んでください。

あなたの舌が口の中で前方にかたよって動いている場合は、舌をやや後方に移動させて声を出すようにしてください。特に母音(ア イ ウ エ オ)を発音するときは、舌の奥のほうの高い部分が口の中で前後左右のどの位置にあるか気を付けて声を出すと、滑舌が良くなります。下図2-8に口の中での正しい舌の位置を示します。これを「母音チャート」と言います。

母音チャートと舌
図2-8

「イ」を発音するときが舌は最も前方に、しかも最も高い位置にあります。「ウ」を発音するときは、舌は最も後方にあり、しかも最も高い位置(イと同じ高さ)にあります。「ア」を発音するときは舌は最も低い位置にあり、しかも前後の中間の位置にあります。「エ」はほぼ「イ」と「ア」の中間の位置です。「オ」は「エ」と同じ高さであり、しかも最も後方(ウと同じ深さ)にあります。

舌の奥のほうの最も高くなっている部分が上図のようになるように注意して発音しましょう。

舌足らずの発音の場合は、これらの音のほとんどすべてが口の中の前方で発音されます。そうなると、すべての母音が似たような音に聞こえてしまいます。したがって、そうならないように、特に口の中の前後関係に注意して発音してみましょう。

この舌の位置関係を拡大したものが、次の図2-9になります。

母音チャート
図2-9

上図で、舌の上下の動き「イ エ ア」と「ウ オ」は、口が大きく開閉するため、舌の位置を意識しやすいでしょう。たとえば、「ア」の時は最も口を大きく開くので、舌の位置が最も下がります。これに対して、「イ」の時は口をほとんど開かないので、舌の位置が最も高くなります。「エ」の時はその中間です。

これに対して、舌の前後の動き「イ ウ」と「エ オ」は、口の開閉具合があまり変化しないので、舌の位置を意識しないとやや難しいのです。

そこで、舌の前後の動きを重点的に練習してみましょう。

舌の位置関係に注意しながら、「イ ウ」を10回発音してみましょう。舌の位置が前後に大きく動くかどうか、確認してください。次に、「エ オ」を10回発音してみましょう。舌の位置の違いが分かったでしょうか?

次に、カ行の「キ ク」を10回発音してみましょう。「キ」は「ki」、「ク」は「ku」なので、母音の「イ」(i)と「ウ」(u)の区別が正しくできていれば、はっきりと発音できるはずです。次に「ケ コ」を10回発音します。これは「ke ko」なので、母音の「エ」(e)と「オ」(o)の区別が正しくできれいれば、はっきりと発音できます。

同様にして、サ行の「シ ス」と「セ ソ」、タ行の「チ ツ」と「テ ト」、ナ行の「ニ ヌ」と「ネ ノ」、ハ行の「ヒ フ」と「ヘ ホ」、マ行の「ミ ム」と「メ モ」、ラ行の「リ ル」と「レ ロ」を、それぞれ10回練習してみましょう。

これらの発音が正しくできるようになったら、次に、本や新聞などから適当な文章を選びます。それをできるだけ大きく低い声ではっきりと朗読してみましょう。言葉を適当な間で区切り、大きさのメリハリをつけて、聞きやすい言葉で発音してみましょう。
これらを繰り返します。

ただし、声を長時間出し続けると、声帯を痛めてしまいます。発声練習を20分程度続けたら、その後、20分以上は声を出さないようにして、声帯を休ませます。

これらの練習をする場合、必ず自分の声を録音してそれを聞いてみて、少しでも声の進歩があったかどうか確認してみましょう。この時、もし、録音した自分の声が変に聞こえるようであれば、「録音した変な声」をお読みください。

練習中に、もし、舌の動きが悪い、つまり、滑舌が悪いと感じたら、「滑舌が悪い声」の項目もお読みください。

通常、独学で練習した場合、すぐに効果が出るわけではありません。少なくとも、トレーニングを毎日1回、それを1か月以上は続けましょう。また、トレーニングで効果が出ても、しばらく休むと元の悪い状態に戻ってしまいます。全くやめてしまわないで、訓練を適度に続けることが必要です。

それでも声が改善されない場合は、ボイストレーニングの教室に通ったほうが良いでしょう。 ボイストレーニング教室については「4-3 ボイストレーニング教室の選び方」をお読みください。


「アニメ声」のまとめ

  • アニメ声とは、極端に高く、舌足らずな声のことです。
  • 緊張などが原因で声が高くなることがあります。
  • 無意識に裏声を出している可能性もあります。
  • 舌が口の中で前方に偏って動いている可能性もあります。
  • 舌の筋肉を鍛えたり、舌の動きを正しく矯正するなどのトレーニングをしましょう。


読者の特典

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この動画は、電子書籍『声の悩み49種のすっきり解消法 ボイストレーニングのミニ百科事典』の「2.1 トレーニングの準備」などの内容を、Haruka(はるか)がわかりやすく解説したものです。

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