我が国初の出版後査読による学術出版が始まる

科学者のイメージ

GH株式会社(ゼネラルヘルスケア株式会社。本社:東京都港区)は、我が国初の学術論文の出版後査読システムの運営を開始しました。

[参考: 我が国初の出版後査読による学術出版の開始

GHは総合科学学術論文誌「Science Postprint(SPP)」を発行し、2013年の公開以来、世界中から200論文ほどの投稿を受付け、約50論文を査読付き学術論文として出版しました。

ここで、査読(peer review)とは、研究者が学術雑誌に投稿した論文を研究者仲間や同分野の専門家が読んで、評価や検証することを言います。査読を行うことによって、論文の内容が適正であるかどうか審査されます。もっとも、2014年のSTAP細胞論文不正事件が起きたように、査読によって研究不正が完全に防がれるわけではないのですが、それなりの効果は期待できます。

ところが、こうした査読を始めてから終わるまでには数週間から数ヶ月あるいは数年もかかります。その間、論文の内容は査読者以外には非公開になります。そのため、競争が激しい研究分野では、査読審査期間中に他の研究者が同様の研究を発表してしまう可能性があります。そうなると、こうした研究発表の遅れが、その研究者の将来を左右してしまうかもしれません。

そこで、査読前に論文を公開し、公開した状態で査読を実施する「出版後査読」(post-publication peer review)という仕組みが考えられて、PubMed Commonsなどのインターネットフォーラムが立ち上げられました。

日本では、GHがScience Postprintで最初に出版後査読を始めたことになります。

一般的に、出版後査読と通常の査読の大きな違いは次の通りです:

  出版後査読 従来の査読
オープンな査読(査読者の名前を公開)するか する する
出版の時期 編集者宛に提出(投稿)直後 査読で評価されて、公式に受理された後
査読報告書 公開 非公開
原稿の改定版 再査読の前に公開 受理されない限り非公開
公式判定 査定判定結果にのみ基づき、「承認/非承認」に分類 編集者は査読報告書に基づき最終判定し、受理された論文のみを出版
受理されなかった論文の取り扱い 引き続き閲覧できるが、他の学術誌に再提出できない 出版されないが、著者は他の学術誌に再提出できる
料金支払い 提出時 最終的に受理された後(受理されなかった論文については請求されない)

[上記表の出典(英文): What is Post Publication Peer Review?

ところで、Science Postprintは、もうひとつの特徴、アジアでははじめてのオープンアクセス学術誌であるという特徴もあります。

Natureなどの従来の学術誌は、投稿者が論文を掲載するための費用は基本的には無料ですが、読者は有料でその論文誌を購入する必要があります。

それに対して、Science Postprintなどのオープンアクセス誌の場合は、論文掲載料は有料ですが、読者は無料で論文誌の内容を読むことが出来ます。それによって、論文が多くの人の目に触れて、引用されて、価値が広まりやすくなります。

[参考: アジアを基盤とした医療や科学技術論文を全て無料で閲覧できる総合学術論文誌「Science Postprint」を5月29日にオープン

こうした意味からも、Science Postprintは画期的な学術論文誌と考えることが出来るでしょう。

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