日本の税金は?
書籍が売れるとその著者に印税が支払われます。
この印税というのは、著作権の使用料の一種であり、収入の一部です。したがって、印税に対しても所得税がかかります。
所得税は、1月1日から12月31日までの全収入をもとに計算されます。Amazonで販売された書籍の場合、ある月に売れた書籍の印税はその月の収入と見なされます(これを売掛金計上と言います。印税が実際に銀行口座に振り込まれるのは後になります)。つまり、Amazonで売れた書籍の1月から12月までの売掛金を元に、所得税が計算されるのです。
ところで、先に述べたように、米国の税金は「税に関するインタビュー」で免税申請を行うことによって、所得税をゼロにすることができます。
しかし、米国の所得税がゼロになっても、それとは別に、日本の所得税がかかります。
印税は、一般的には、支払いの際に源泉徴収されます。しかし、Amazonから書籍などを販売した場合の印税には、日本の源泉徴収税は課されません。そのため、後から著者は確定申告を行って所得税を納税する必要があります。
今まで毎年確定申告をしていた人の場合は、引き続き確定申告をする必要があります。しかし、今まで収入が少なく確定申告をしていなかった人の場合は、わざわざ確定申告を行う必要はありません。それは多くの場合、多少の印税が入ったとしても、納税額に達しないことが多いからです。
そこで、納税額はどうやって計算するのか、簡単に知っておきましょう。
納税額はどうやって決まるのでしょうか?
納税額は次の計算式で決まります:
[印税を含む総収入金額]-[必要経費]=[所得金額]
[所得金額]-[控除額]=[課税所得金額]
[課税所得金額]×[税率]=[申告納税額]
この計算で、出版に関連した必要経費が問題になります。
この必要経費には、
- 原稿や資料のコピー費
- 文具費
- パソコンや出版に必要な機器の購入費
- 取材や編集者との打ち合わせのための交通費・飲食費・宿泊費
- 資料収集のための書籍費
- 出版代行業者に支払う費用
- 自宅執筆の際の家賃、水道光熱費、通信費の一部
などがあります。
この計算で、もし、総収入金額に比べて必要経費と控除額が多い場合は、課税所得金額が0円になってしまいます。その結果、申告納税額が0円になってしまいます。
そうなれば、確定申告の必要はないのです。
しかし、書籍が思いのほか売れて多額の印税(たとえば数十万円以上)が入ればそれは雑所得あるいは事業所得になるかもしれません。その場合は、日本の所得税と住民税を支払わなければなりません。
ここで、事業所得というのは、職業的な作家やライターの印税のことです。そのほかに、講演料や放送謝金なども事業所得です。
これに対して、職業的な作家やライターでない人が得た印税は雑所得になります。ただし、副業であっても、個人事業主としてライターなどの職種を税務署に届けている場合は、基本的に事業所得になります。
事業所得には、「損益通算(赤字があった時、その金額をほかの所得の黒字から差し引くこと)」などの税法上のメリットがあります。しかし、雑所得の場合はそのようなメリットはありません。
したがって、印税が少ない人でも、将来、印税が急増して、納税する必要が起きるかもしれません。その時にあわてないように、出版に関係する費用を支出した場合は領収書を保存し、簡単な収支内訳書を作成しておきましょう。
確定申告は、1月1日から12月31日までの期間に印税収入があった場合、その次の年の2月16日から3月15日までの間に行います。詳しい内容や納付金額については、お近くの税務署にお問い合わせください。
なお、住民税の金額は、前年の所得税の金額に応じて自動的に決まります。
給与生活をしている人の確定申告は?
ところで、給与の支払いを受けている人の場合は、会社が税を払ってくれています。そのような人に印税収入があった場合、所得税の確定申告の必要はあるのでしょうか?
給与を得ている人が、Amazonからの印税を雑所得として受け取っている場合、年間のAmazonからの「収入」から必要経費を差し引いた「所得」が20万円以下である場合は確定申告をする必要はありません。ただし、医療費控除、寄付控除、住宅取得控除などを受ける必要がある場合は、確定申告をする必要があります。
また、所得税の確定申告が不要である人の場合、たとえAmazonからの所得が20万円以下であっても、住民税の確定申告を行う必要があります。
詳しい内容については、お近くの税務署にお問い合わせください。