翻訳の勉強は、普通の語学の勉強法とはかなり違います。原文を読む力だけでなく、正確で読みやすい訳文を書く力が必要になります。
プロの技術翻訳者を目指した最初の頃、私はK翻訳協会の英和・和英翻訳の通信教育を受けました。しかし、教材の内容に満足できなかったので、市販の参考書もいくつか購入して並行して勉強しました。約半年後、K翻訳協会の科学技術翻訳士検定を受け、3級に合格しました。もう少し上級を目指してもよかったのですが、とりあえずその時点から翻訳の仕事を探し始めました。
仕事を始めてからも、翻訳の勉強はその後長い間続けました。
いろいろな勉強法を経験しましたが、参考書を使った独学よりは各種の翻訳講習会や勉強会に参加した時の方が、翻訳の力が付いたと思います。特に、K翻訳協会主催の各種翻訳セミナーは、翻訳初心者の私にとってとても役に立ちました。また、A翻訳会社の翻訳勉強会では、IBM社製大型コンピュータのOSの仕組みやその翻訳上の注意点などを詳しく学べて、とても有益でした。その後は、A社で知り合ったT氏が主宰する翻訳勉強会に長い間参加させていただき、翻訳についてのいろいろな見方を知って、広い見聞を得ることができました。
どの勉強会も、今となっては懐かしい思い出ばかりです。
インターネットを利用するようになってからは、外出する回数も減り、勉強会に参加することもなくなってきました。
インターネットを翻訳に利用するうえで一番役に立った参考書は、『技術翻訳のためのインターネット活用法』(安藤進著、丸善株式会社、2001年発行)だと思います。この本の内容は今ではかなり古くなってしまいましたが、英文の用例辞典としてGoogleを利用するというアイデアは今でも有効です。このアイデアは、類似の英語表現が複数個あって、どれを使ったらよいのか迷うような場合に有効です。それら複数個の英語表現をそれぞれ完全一致で検索し、最も検索ヒット件数が多い英語表現を標準的な用例と考えて、それを翻訳に利用しようというものです。
(3.に続く)