電子書籍の価格は多様です。日本では、紙の書籍とほぼ同じ価格で発売されている電子書籍もあれば、その数分の一で発売されている電子書籍もあります。それはなぜでしょうか?
同一内容の本なのに、紙の書籍と電子書籍の価格がほぼ同一なのは、その出版社の戦略によるものです。電子書籍の価格を大幅に下げてしまうと、紙の本の売り上げが減ってしまうでしょう。そうならないように、また、現在の流通システムや町の書店に打撃を与えないように、電子書籍の価格を高く維持しているのだと思われます。
しかし、電子書籍は印刷・製本代や流通費(取次(卸売)会社や書店への輸送費)がかからないので、紙の本の場合の1/3程度の価格でも十分に利益が出ると思われます。
一方、電子書籍は、紙の本と違って、読者は自分で端末を用意する必要があり、また、読了後に古書店に売るとか、あるいは、自分のデータとして独占的に所有するとかいったこともできません。これは電子書籍の欠点とも言えます。
そのように考えると、電子書籍は、出版社による編集費がある程度は必要であるとしても、紙の書籍よりも大幅に安い価格で販売することが妥当だと思われます。
こうした事情から、紙の本と電子書籍の両方を出版している既存の出版社では、現状を維持するため、どちらもほぼ同じ価格で販売しています。それに対して、電子書籍のみを販売している新興の出版社では、類似の紙の書籍の数分の一の価格で販売している場合が多くなっています。
つまり、電子書籍の価格がかなり安いとしても、必ずしも、その書籍の内容が手抜きで作られているわけではないのです。
アートジャム電子書籍出版部でも電子書籍を出版していますが、どの本もお求めやすい価格に設定しています。