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自費出版の長所
その気になれば、誰でも一生の内に一冊は本を書けるそうです。人によっては、五冊でも十冊でも書けそうですね。
書籍の出版は、一般的に、自費出版と商業出版に分けることができます。自費出版とは出版費用を著者自身が負担して出版する方法のことです。これに対して、出版社が出版の費用を負担して出版する方法を商業出版と言います。商業出版の方が自費出版よりもハードルが高いため、通常、高く評価されます。
しかし、たとえ自費出版であっても、本を書けば得られるものがあります。
- あなたの考えや知識が整理されます。
- あなたの知名度や信用が増します。
- 専門家として認められます。あなたのお仕事に関連する専門書を出版すれば、あなたの信用度が高まり、お仕事を受注しやすくなります。また、講演会などで希望者に販売することもできます。教室をお持ちの場合は、教室の生徒さんに購入してもらうことができます。
- あなたの考えや体験を他人に広めることができます。自分史を家族や親戚に読んでもらえます。自分史は、大勢の見知らぬ人に読んでもらう必要性は低いので、商業出版よりもむしろ自費出版に向いています。
- 需要は少ないが価値のある本を出版することができます。
- 知名度がまったくない著者であっても出版することができます。
- さらに、印税収入も得ることができます。
自費出版の短所
一方、自費出版には、次のような短所があります:
- 商業出版と比べると、あなたの知名度や信用はそれほど増しません。
- 商業出版と比べると、専門家としてそれほど高く評価されるわけではありません。
- 印税収入も、販売冊数が少ないため、商業出版の場合ほどは多くなりません。
自費出版と商業出版の比較
ここで、あらためて、自費出版と商業出版を比較してみましょう。
現在は不況の影響で書籍を大量販売することが難しくなっていますので、よほど大量に販売できて利益を見込める本でないと商業出版は難しくなっています。
それに対して、自費出版は少量の需要しかなくても出版できます。これが自費出版の最大の魅力でしょう。
自費出版で世に出た書籍の中で有名なものには、夏目漱石の『こころ』、島崎藤村の『破戒』、小池 真理子の『知的悪女のすすめ』、島田洋七の『佐賀のがばいばあちゃん』などがあります。また、外国人の著作では、ドストエフスキーの『悪霊』やプルーストの『失われた時を求めて』の第1巻などが知られています。これらの書籍は最初は自費出版として登場しましたが、売れ行きが好調だったため、その後、商業出版に切り替わりました。
通常の商業出版は出版の費用を全額出版社側が負担します。しかし、商業出版の中には、出版費用の一部を著者が支払うという、セミ商業出版と言っても良いような形態もあります。
ところで、商業出版では、出版社の編集者が書籍の売れ行きを考慮して、書籍の内容に大幅な修正を施したり、書籍タイトルと表紙デザインを一方的に決定することがあります。それに対して、自費出版では比較的著者の希望が反映されやすくなります。これが自費出版のもう一つの魅力です。
ただし、自費出版といってもいろいろな方法があります。従来型の紙書籍の自費出版の場合は、通常、500部以上同時に印刷・製本しますので、制作費が数十万円から数百万円もかかります。それに対して、電子書籍を中心にした自費出版では制作費は十万円前後ですみます。
では、自費出版と商業出版、そのどちらを選ぶべきでしょうか? また、自費出版を選んだ場合、従来型の紙書籍かあるいは電子書籍か、どちらが良いのでしょうか?
その選択をするには、制作費用をどのくらいにしたいのか、および、何冊くらい作る必要があるか、などの条件を考えてみましょう。