並行出版とは?
これまで説明してきたように、電子書籍の出版と紙書籍の出版にはそれぞれ別の特徴があります。そこで、同じ内容の書籍を電子書籍と紙書籍の両方で出版したら、どうなるでしょうか? 読者は自分の環境や目的に応じてどちらかを自由に選ぶことができるので、とても便利ですね。
もし、同じ原稿から電子書籍と紙書籍の両方を同時に出版できれば「同時出版」と言えるのですが、簡単にはそうもいきません。
というのは、電子書籍は書籍完成後に1日から数日でAmazonから販売開始できるのですが、紙書籍の場合は審査に1ヶ月ほどかかり、その間待つ必要があるのです。つまり、電子書籍を発売してから1ヶ月ほど経ってからでないと紙書籍の発売開始はできません。したがって、発売開始時期をずらして並行販売をするので、これを「並行出版」と言うことにします。
並行出版の種類
先に述べたように、紙書籍には、次の2種類があります:
- 従来の大量生産方式の出版
- オンデマンド印刷による出版
したがって、こうした2種類の紙書籍と電子書籍を組み合わせる並行出版も、また2種類あります。
- 電子書籍+従来の大量生産方式の紙書籍
- 電子書籍+オンデマンド印刷による紙書籍
商業出版の場合は、電子書籍と従来の大量生産方式の紙書籍を組み合わせた並行出版が適しています。それに対して、自費出版の場合は、一般的には、電子書籍とオンデマンド方式の紙書籍を組み合わせた並行出版が適していると考えることができます。
また、従来の大量生産方式の紙書籍の場合、売れ行きが悪ければ1ヶ月ほどで書店から返品され、裁断処分されて、数年で入手困難になってしまいます。これに対して、オンデマンドの紙書籍の場合、基本的には電子書籍と同じ出版形態なので、在庫切れになることはなく、すべての販売可能な書籍が半永久的に販売され続けます。