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腹式呼吸とは
腹式呼吸とは、息を吐いたり吸ったりした時に、お腹の周りがへこんだり膨らんだりする呼吸のことです。
腹式呼吸は、良い声を出すために重要です。
腹式呼吸ができますようになると、強い空気圧で息を長く出せるようになります。そのため、大きな声や通る声が出しやすくなります。
床の上にあおむけに寝て呼吸すると、腹式呼吸を実感しやすいといわれています。ただし、寝ながら呼吸すれば、必ず、腹式呼吸になるわけではありません。まれに、寝ていても胸式呼吸をする人がいます。
床の上に寝て、その状態で自分が腹式呼吸をしているかどうか自分でわからない場合は、誰かに自分の呼吸を目で見てもらうと確認できます。寝た状態で呼吸して、腹部が動いていれば腹式呼吸です。しかし、胸部が動いていれば胸式呼吸であり、肩が動いていれば「肩式(けんしき)呼吸」です。
胸式呼吸や肩式呼吸と比べて、腹式呼吸は吸ったり吐いたりする空気の量が多くなります。そのため、腹式呼吸をすれば、安定した大きな声を長く出すことができます。
もし、あなたの普段の呼吸が腹式呼吸でないことがわかったら、腹式呼吸に切り替えたほうが良いでしょう。
枕なしで床に寝て、息を吐いた状態で、相手の人に胸を軽く押さえてもらいます。その状態で横隔膜を下げて息を吸うと腹が盛り上がり、腹式呼吸になります。この感覚を覚えて、普段も腹式呼吸を意識的に行いましょう。それが習慣になれば、いつでも腹式呼吸できるようになります。
普段腹式呼吸をする場合は、鼻から息を吸って、鼻から息を出します。しかし、体をリラックスさせるために腹式呼吸をする場合は、鼻から息を吸って、口から息を出します。口から息を出すと、体の緊張をほぐしやすいのです。
私の場合、中学生の頃、自分がいつも胸式呼吸をしていることに気が付きました。そこで腹式呼吸に切り替えることにしました。最初は大変でしたが、数日かけて完全に切り替わったように思います。胸式呼吸の時はなんとなく呼吸が息苦しかったのですが、腹式呼吸になるとそうした息苦しさはなくなり、呼吸していることをほとんど意識しなくなりました。
普段胸式呼吸をしている方は、早く腹式呼吸に切り替えましょう。発声上のメリットだけでなく、その他の日常生活でのメリットも大きいからです。
もっとも、腹式呼吸をしている時は胸式呼吸は全くしていない、というわけではありません。厳密には、腹式呼吸と胸式呼吸は両方同時に行なっています。ただし、腹式呼吸をしていると感じている時は、腹式呼吸の割合の方が断然大きいのです。
普段は腹式呼吸をしている人でも、激しい運動をした後などは、腹式呼吸だけでは酸素の取り込みが不十分になるため、胸式呼吸や肩式呼吸を併用して行うことになります。ラジオ体操の整理運動では、息を整えるために、両腕を上から下へ大きく旋回させて、胸式呼吸と肩式呼吸も併用して行っていますね。
腹式呼吸の強化
痩せて運動不足の人や肺活量の少ない人の場合、肺から息を押し出す力が不足して、声が小さくなったり細くなったりすることがあります。その場合は、声の質を改善するために、息を押し出すための筋肉を鍛える必要があります。
ところで、腹筋の運動というと、一般的には、床に仰向けに寝た状態から手を使わないで体を起こす体操のことを言います。しかし、この腹筋の運動で鍛えられる腹筋というのは、腹直筋など、体の表面の筋肉です。腹直筋などは、呼吸にはあまり関係しないため、それらだけを鍛えても、声を大きくする目的には不十分です。
そのため、腹筋のほかに、呼吸に関係するインナーマッスルを鍛える必要があります。そのためには、スクワットや腕立て伏せをゆっくり行うのが有効です。
なお、特別に体力のない人を除いて、普通の人にはある程度の腹筋はついています。そのため、声を改善する目的では、腹筋運動をわざわざ行う必要はありません。
ところで、腹式呼吸を十分に行うためには、ある程度肺活量を大きくする必要があります。
肺活量の平均値は、成人男性で3000~4000 ml、成人女性で2000~3000 mlです。あなたの肺活量がこれより小さめである場合(たとえば、男性で2500 ml以下、女性で1700 ml以下)は、運動を行って、肺活量を大きくする必要があります。
このためには、有酸素運動と呼吸法を組みあわせて練習するのが効果的です。ゆっくりと歩きながら、あるいは、足踏みをしながら、腹式呼吸で息を吸い込み、次に、息を吐き出します。この時、肺の上から下まで、十分に息を入れるようにします。ただし、力は入れないでください。これを数分以上繰り返します。
しかし、あなたの肺活量が平均値よりも極端に小さい場合は、この有酸素運動だけでは不十分でしょう。この運動に加えて、毎日、大きめのゴム風船を何度も膨らますとか、あるいは、2リットル程度のペットボトルを口に当てて強く吸ったり吹いたりするとか、という運動を行えばさらに効果的です。肺を限界まで拡張・収縮させる運動を1か月ほど続けると、肺活量が確実に大きくなります。
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