技術翻訳雑感

3. 英和翻訳と和英翻訳

投稿日:2018年2月20日 更新日:

技術翻訳者には、英和翻訳と和英翻訳のうちの片方のみを行う方と、両方行う方がいます。

私は最初は英和翻訳と和英翻訳の両方を行っていましたが、しばらくして、和英翻訳を中心に行うことに決めました。

その理由のひとつは、翻訳料金が英和翻訳よりも和英翻訳の方が約2倍もしたことです。私の場合、どちらの翻訳にかかる時間もあまり変わらないので、和英翻訳を中心に行った方が当然収入が多くなります。

また、当初はワープロやパソコンはまだ存在しなく、和英翻訳は英文タイプライターで、英和翻訳はレポート用紙にペン(万年筆)で手書きで行っていました。手書きの文章というものは考えながら書いていると文字が次第に乱雑になり、見にくくなるので、最終的には清書する必要があります。こうした作業は、とにかく中指の鉛筆ダコが痛くなる辛い肉体労働でした。そのため、よけいに英和翻訳を敬遠するようになりました。(最近の若い人は、ペンの持ち方が昔の持ち方とは違うようですが、この新しい持ち方だと、あまり指が痛くならないのかもしれませんね。)

ところで、英和翻訳と和英翻訳の両方を行うことには別のメリットがあります。つまり、両方を行うことで、語学力と文章力にバランスが取れてくるのです。私も今では両方行っています。また、ここ20年以上、ワープロやパソコンを使うようになったので、日本語を書くことは(中指にとって)苦痛でなくなったということも、英和翻訳をするようになった理由のひとつです。

近年、多くの会社では翻訳を外注しないで社内で行う傾向が強くなっています。そのため、翻訳発注量が減ってきています。その意味でも、英和翻訳と和英翻訳の両方行うことが仕事を切れ目なく獲得しやすくするコツかもしれません。






(4.に続く)

-技術翻訳雑感
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

5. 用語や用語の使用法を発注者の仕様にあわせること

大会社から受注した翻訳の場合、使用する専門用語やそれら用語の使用法を指定されている場合があります。 たとえば、「data」(データ)という用語は単数扱いまたは複数扱いの両方が可能ですが、F社では必ず単 …

4. 翻訳作業の基本的な順序

Contents1 技術翻訳の順序1.0.1 (1) 準備1.0.2 (2) 翻訳1.0.3 (3) 仕上げ 技術翻訳の順序 技術翻訳は、一般的に、次のような順序で行います。 (1) 準備 翻訳原稿を …

1. 翻訳へのきっかけ

私が技術翻訳に目覚めたのは、地方大学の工学部の学生だった時に、中学の時の英語のF先生の紹介で、小型送受信機のパンフレットを和文英訳したのがきっかけでした。当時、英語は得意というわけではなかったのですが …

6. 原稿の送受信と図表の翻訳

インターネットがまだなかった時代、翻訳用原文と資料は、直接に翻訳会社に出向いて受け取るか、郵便で配達してもらうか、あるいは、FAXで送信してもらっていました。 また、翻訳内容に図表が含まれる場合は処理 …

2. 翻訳の勉強法

翻訳の勉強は、普通の語学の勉強法とはかなり違います。原文を読む力だけでなく、正確で読みやすい訳文を書く力が必要になります。 プロの技術翻訳者を目指した最初の頃、私はK翻訳協会の英和・和英翻訳の通信教育 …