インターネットがまだなかった時代、翻訳用原文と資料は、直接に翻訳会社に出向いて受け取るか、郵便で配達してもらうか、あるいは、FAXで送信してもらっていました。
また、翻訳内容に図表が含まれる場合は処理が面倒でした。
まず、紙に印刷された図表の該当箇所にボールペンなどで番号をつけておき、それから、翻訳用紙に、その番号に対応させて箇条書きで翻訳していました(これを「番号対応訳」と言います)。そして、出来上がった文書をたとえばプリンターなどで紙に打ち出し、それを直接に翻訳会社に持ち込むか、郵送するか、あるいは、FAXで送信していました。
現在はインターネットが使えるので、状況がかなり異なります。原稿の受け渡しは、ほとんど、電子メールに添付して行います。
また、原稿がPowerPointファイルで、上書き翻訳の場合は図表翻訳でも問題ありません。しかし、Wordなどの翻訳では、番号対応訳を行う必要があります。
紙に印刷した図表に番号を付けたものは電子メールで送れないので、FAXで送信するのが普通です。しかし、これには問題があります。図表全体が黒っぽいと、ペンで番号を付けても、FAX送信した原稿に書かれた番号が判読できない可能性があります。そのような場合、私は、普通のペンの代わりに白い修正ペンを使って、黒っぽい図表に番号を付けていました。しかし、それでも、番号を付け間違がえたりした場合も多く、そんな時は、きれいに番号を訂正することができません。そんなわけで、これもあまり良いやり方とは言えませんでした。
現在では、私の場合、図表をパソコンでキャプチャーして、画像処理ソフトに読み込み、それに赤字で番号をつけ、その画像をWordファイルの該当箇所に貼り付けています。これだとペンで番号を付けるよりは多少時間がかかりますが、番号の間違いなどを訂正したい場合はきれいに訂正できますし、原稿を納品する際も、電子メールに添付できるので簡単です。総合的には、この画像処理を使ったやりかたの方が効率的だと思います。
(画像処理ソフトで原稿内の画像に番号を付けた例)